かつて自らが生息していた惑星の記憶を持つ人類は、もういない。
 ただ、人類という種を絶やさないため宇宙に旅立った数千の船の名称と共に、その星の名は語り継がれている。
 『地球環境保持型超長距離航行播種船』
 文字通り地球環境を保持した船内には数万人の『地球人』が生きており、いくつもの世代を超えて生存可能な星を探していた。
 現在の人類の住処であるその船は、世界を滅ぼした大洪水の伝説になぞらえたのか、『ノアの揺り籠』とも呼ばれている。
 揺り籠の一隻が辿り着いた大型なガス惑星。AIが示した航路上に公転軌道が重なっていた赤い星は、資料に残る地球の十倍以上の大きさを誇り、恒星からは遠く日の当たりは悪い。ほとんどの空域で特大のハリケーンが吹き荒れる不安定な大気。その成分は水素やヘリウムが主で、酸素や窒素はほぼ皆無。一見して人類の生存には適さないことを示す多数の観測結果の中に、思いがけない情報が含まれていた。
 大気圏内に確認された、推定数百から数千キロに及ぶ巨大な『生物』。
 調査のために惑星に降下した揺り籠の前に立ちふさがったのは、過酷な環境だけではなかった。揺り籠は『攻撃』されたのだ。不安定な大気の中を舞う、複数の小型航空機のような物体に。
 予想外の妨害を受けた揺り籠だが、調査を諦めるという選択肢はなかった。あてのない航海を続けるには、人々は疲れすぎていたのだ。

 こうして、戦いが始まった。 
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